マリコラム 西日本放送アナウンサー「鴨居 真理子」のブログ

2022/11/14

朗読 菊池寛「恩讐の彼方に」

鴨居 真理子

菊池寛の作品を読むラジオの朗読番組、

「ふるさと文庫 菊池寛を読む(毎週日曜午前7時35分~7時50分)」の

収録が始まりました。

前回の「蘭学事始め」に続いて、今回は「恩讐の彼方に」。

菊池寛の名作です。

人間の相反するヒューマニズムが描かれています。

「恩讐」というのは、「恩・情け・恵み」と「恨み・つらみ」と相反する正反対の意味を持つ言葉。

「様々な感情を乗り越えたその先に…」ということでしょう。

乗り越えた先には、ドラマチックな結末があり、ヒューマニズムに満ちた名作です。

前半部分を岸たけしアナウンサーが担当し、後半部分を私が担当します。

後半部分は、大分県に今も残る「青の洞門」が舞台。

物語は、主人公・市九郎が行った主殺しや人殺しへの後悔や懺悔の心と、

父を殺され敵討ちに全国行脚する武士の息子の市九郎への恨み。

二人の感情の揺れ動きが描かれ、感動的な結末を迎えるヒューマンドラマです。

まさに「恩讐の彼方に」。

主人公の市九郎は実在の曹洞宗の僧・禅海がモデルですが、物語自体は菊池寛の創作。

創作力や発想力に凄まじいエネルギーを感じます。

私も年齢を重ねたからこそ、ようやく読める作品だと感じています。(まだまだなのですが…)

朗読は技術が及ばず、なかなk難しいですが、何とかこの世界観を表現しようと頑張っております。

ディレクターは大先輩の熊谷富由美さん。

朗読の難しさや楽しさ、面白さ、表現方法などを収録前後に語りあうのも楽しみの一つ。

是非、聴いてみてくださいませ。

西日本放送のHPのラジオのページの

「ふるさと文庫 菊池寛を読む」のページを開くと、

過去の放送も聴くことができます。

西日本放送のアナウンサーたちが菊池寛の作品を朗読しておりますので、

是非、お楽しみください。