第52回香川菊池寛賞
三井英美子「歌人」
公民館の短歌講座で、綾子は講師の高倉美千代と出会った。窓に、うす紅色に萌えて楠若葉がひろがる春だった。短歌を芸術として世俗の歌人と交わらず、庶民の生活を知らない師の指導に、綾子たち受講生はとまどうことばかりの一年が過ぎた。
綾子は縫製工場を営む受講生と知り合い、その工場で働く。工場ではオクサンと呼ばれるその人は、綾子に新しい短歌の存在を紹介し、新人賞を目指すようすすめてくれる。その後オクサンは癌に倒れ、工場ではミシンを止めて流れ作業で千羽鶴を折る。綾子の祈願の一首を添えて、それは死の床へ届けられた。
著者プロフィール
三井英美子(みい えみこ)
1941年 香川県仲多度郡多度津町に生まれる
1959年 香川県立丸亀高校卒業
香川歌人 海市短歌会(かいしたんかかい)に所属
1995年 第19回 久保井信夫賞受賞
1999年 日本歌人クラブ四国ブロック優良歌集賞受賞
2015年 第50回香川菊池寛賞奨励賞受賞
2017年 第52回香川菊池寛賞受賞
著書 歌集「月の河口」「月夜曼陀羅」
放送内容
朗読:池田 弥生(西日本放送アナウンサー)
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最終回
2017年7月3日放送
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第5回
2017年6月26日放送
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第4回
2017年6月19日放送
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第3回
2017年6月12日放送
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第2回
2017年6月5日放送
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第1回
2017年5月29日放送