第34回香川菊池寛賞
藤沢辰雄「風の峠道」
小学生のとき、ケンは近くの町が空襲をうけるのを見た。近くに幼なじみのミサの家がある。終戦の翌年、ケンは農学校へ、ミサは女学校に入学する。二人にとっての思い出は、戦争中の不愉快なものばかりである。想い出は忌まわしい音そのものではないか、とケンは考える。六月から始まる農繁期には、峠の村からカリコ牛のクロがやってくる。田んぼの少ない農家では賃料の米を払って、カリコ牛を借りる。ケンの父とミサの父は、共謀して昼夜の別なくクロを酷使する。ケンとミサはクロに同情し、酷使から少しでも解放されるように、働く時間やら餌のことを相談する。ケンの祖母と母はクロに無関心である。クロが峠の村へ帰る日が迫った。ミサはクロに琴を聴かせる。桜の曲だ。クロには音楽が解るようだ。ケンとミサは、クロを峠まで返しに行く。
著者プロフィール
藤沢辰雄(ふじさわ たつお)
昭和7年11月12日 木田郡三木町生まれ
香川大学農学部卒業後大阪で中学校教員
現在奈良県大和郡山市在住
第34回香川菊池寛賞受賞
平成22年日本文学館出版大賞ノベル部門特別賞
放送内容
朗読:熊谷 富由美
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最終回
2016年10月31日放送
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第9回
2016年10月24日放送
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第8回
2016年10月17日放送
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第7回
2016年10月10日放送
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第6回
2016年10月3日放送
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第5回
2016年9月26日放送
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第4回
2016年9月19日放送
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第3回
2016年9月12日放送
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第2回
2016年9月5日放送
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第1回
2016年8月29日放送