ラジオで聞く 香川菊池寛賞 香川菊池寛賞受賞作品を朗読で紹介します。

香川菊池寛賞とは

香川出身の文豪・菊池寛の業績を顕彰するとともに郷土の文芸創作活動を奨励するために設立されました。

第21回香川菊池寛賞

矢田一郎「空白の断層」

 東京立川市の郊外で交通事故があり、1人の老人が死亡した。

 警察では事件を殺人事件として捜査を開始した。被害者は戦争中ビルマ方面に派遣された部隊の兵士であった。

 当時ビルマ戦線では日本軍による現地人虐殺、財産略奪事件があり、被害者は当時その事件の首謀者である上官の罪を追って戦犯裁判で死刑を宣告されていたが、その後証拠不十分で減刑され、現地で生活していたのが40年ぶりに内地へ帰還したばかりであった。

 当時同じ戦犯容疑で裁判を受けた戦友2人は刑を終えて既に帰国して、当時の上官であって、現在海運会社社長であり国会議員も勤めている男を頼り、彼の配下として、それぞれ社会的地位も得ていた。

 死刑囚だった部下が生きて帰ったことは上官であった社長にとっては戦争中の悪事を暴露される危険があり、社長は腹心の部下に命じ、彼を事故死に偽装して殺害したのだった。

 さらに動揺する2人の配下も次々に抹殺してゆく。

 警察の老練刑事の執念はこの事件の奥に秘められた40年前の核心を探り出してゆくのだった。

著者プロフィール

矢田一郎(やだ いちろう)

旧制中学卒業
昭和22年 香川県警察事務吏員
昭和35年 退職
     香川県民生部保険課勤務
昭和58年 依頼退職
     香川県民生部保険課嘱託

放送内容

朗読:【前半】熊谷富由美 【後半】岸 たけし(RNCアナウンサー)

  • 最終回

    2020年10月18日放送

  • 第19回

    2020年10月11日放送

  • 第18回

    2020年10月4日放送

  • 第17回

    2020年9月27日放送

  • 第16回

    2020年9月20日放送

  • 第15回

    2020年9月13日放送

  • 第14回

    2020年9月6日放送

  • 第13回

    2020年8月30日放送

  • 第12回

    2020年8月23日放送

  • 第11回

    2020年8月16日放送

  • 第10回

    2020年8月9日放送

  • 第9回

    2020年8月2日放送

  • 第8回

    2020年7月26日放送

  • 第7回

    2020年7月19日放送

  • 第6回

    2020年7月12日放送

  • 第5回

    2020年7月5日放送

  • 第4回

    2020年6月28日放送

  • 第3回

    2020年6月21日放送

  • 第2回

    2020年6月14日放送

  • 第1回

    2020年6月7日放送