第30回香川菊池寛賞
平井忠志「花だんす」
 物語りは明治、大正、昭和の激動の時代を、運命に逆らうことなく、辛抱強く、したたかに生き抜いた女の記録である。
         漁師の長男に嫁いだ千代は、出産のため里帰りしている間に、夫を暴風の海に奪われる。訃報を聞いた夜千代は娘の文恵を出産するが、やがてキリシタンを理由に、娘を残したまま婚家を追われる。
         千代は実家に戻り、母と病弱の兄を助けて毎日過酷な野良仕事に悲しさを紛らわせるが、やがて母を説き伏せて、幼なじみの哲治を右腕に、土建の女請負師を始める。
         やっと仕事が軌道にのったとき、娘文恵の大病、ひそかに思いを寄せる哲治の死、千代が後事を託す青年壮太との出合いなど、波乱の人生が待ち受ける。やがて念願の娘を取り戻して壮太と結婚させるが、母と娘の感情は平行線のまま交わらない。
         千代は子育てもせず無傷のまま輝く花だんすに、娘と別れて暮らした17年の歳月の谷間の深さを知る。
         ふと風邪をこじらせた病の床で、千代が熱に浮かされて歌う子守歌に、文恵は幼い日の記憶がよみがえり、母にすがりつく。
      
著者プロフィール
平井忠志(ひらい ただし)
高松市在住
           愛媛農林専門学校卒業
           昭和23年~昭和63年香川県庁勤務
           昭和63年香川用水土地改良区勤務
           「四国作家」同人
           平成6年「第15回文庫による読書感想文」県コンクール最優秀賞、全国コンクール優秀賞
           平成7年第30回香川菊池寛賞入賞
 
       放送内容
朗読:鴨居 真理子(西日本放送アナウンサー)
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           最終回 2015年8月24日放送 
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           第13回 2015年8月17日放送 
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           第12回 2015年8月10日放送 
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           第11回 2015年8月3日放送 
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           第10回 2015年7月27日放送 
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           第9回 2015年7月20日放送 
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           第8回 2015年7月13日放送 
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           第7回 2015年7月6日放送 
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           第6回 2015年6月29日放送 
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           第5回 2015年6月22日放送 
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           第4回 2015年6月15日放送 
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           第3回 2015年6月8日放送 
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           第2回 2015年6月1日放送 
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           第1回 2015年5月25日放送 
