ラジオで聞く 香川菊池寛賞 香川菊池寛賞受賞作品を朗読で紹介します。

香川菊池寛賞とは

香川出身の文豪・菊池寛の業績を顕彰するとともに郷土の文芸創作活動を奨励するために設立されました。

第32回香川菊池寛賞

宮城正枝「アラスカ・白い雷」

 高校教師祥子はアラスカへ旅し、オーロラや世界最長のパイプラインを見る。雪の降るフェアバンクスの町で、鮮やかな花が描かれた紫色の袋をもつイヌイット(エスキモー)の女にあう。顔立ちから日本人ではないか―と思った時、留学した頃知り合ったノーマンとの思い出が蘇る。極寒の地で人はみな正直になる。離婚し、今一人で生きる祥子は、気持ちを伝えたくノーマンに電話する。息子が出て、父は今死の床にある、彼も離婚し祥子を気にかけていたと告げられる。山村かすみは、紫の袋の女が自分の母ではないかと思う。母は、かすみが幼い頃夫をなくし、家のため義弟との結婚を強いられたのを嫌って出奔、日系二世と結婚しフェアバンクスにいると聞くが定かではない。複雑な思いでかすみは女に声をかけられない。高村江利子は、紫の袋を見て、藤棚で自殺した夫の幻影に悩まされる。出版社で働いている江利子は仕事をかねてアラスカへきているが、案内の若き生物学者井川康介と心が通いあうのを感じる。帰路につく日、新聞記事で祥子は紫の袋の女が交通事故で死亡したのを知る。かすみはもう一度来て、今度こそ母を探したいと思う。江利子は井川と一年後の再開を約束、生きる希望をもつ。それぞれの思いを乗せて、飛行機は白一色の氷に閉ざされた空港を離陸する。

著者プロフィール

宮城正枝(みやぎ まさえ)

香川県坂出市生まれ。
東京女子大学短大部英語科卒業。
公立中学校英語教諭を経たのち、香川大学経済学部助手。その後、米国コンコード高校他で日本および日本女性について講義する。
現在、香川県国際交流協会評議員。倉敷市立短大非常勤講師。
著書に『出会いのアメリカ―女の生き方報告』、『アメリカの風―ゆれる家族』、『ハーフドームの月』など。
訳書に『われらアメリカの女たち―ドキュメント・アメリカ女性史』、『ヴァージニア・リー・バートン「ちいさいおうち」の作者の素顔』など。

宮城正枝

放送内容

朗読:仁多田 まゆみ(西日本放送アナウンサー)

  • 最終回

    2016年2月1日放送

  • 第11回

    2016年1月25日放送

  • 第10回

    2016年1月18日放送

  • 第9回

    2016年1月11日放送

  • 第8回

    2016年1月4日放送

  • 第7回

    2015年12月28日放送

  • 第6回

    2015年12月21日放送

  • 第5回

    2015年12月14日放送

  • 第4回

    2015年12月7日放送

  • 第3回

    2015年11月30日放送

  • 第2回

    2015年11月23日放送

  • 第1回

    2015年11月16日放送