ホセ・マヌエル・ブロート
セファラーV,1992
2.60×2.60m
カンヴァス:アクリル絵具





フェラン・ガルシア・セビーリャ(パルマ・デ・マリョルカ、1949年)の《オウム 10》と、ホセ・マヌエル・ブロート(サラゴーザ、1949年)の《セファラーV》は、いずれも、抽象絵画を代表する二人の芸術家の、異なった個性をよく示す作品です。一方が、線や染み、さまざまなシンボルをまき散らし、乱暴とすら思える生命力と情熱をあらわすのに対し、もう一方の作品は、いささか不安な気分がよぎるとはいえ、より穏やかで落ち着いています。ただ、いずれの作品にも、なんら具体的な意味はありません。
それらはただ、絵画というものを理解し、制作する二つの方法というだけなのです。ブロートの作品に見られる、大きく波打つ青い形象や、その背後にある半抽象のさまざまな形態も、何らかを意味するわけではありません。カンヴァスの透けて見える部分は、不透明な層や影と重なり合い、作品全体の神秘性をつむぎだします。厳密に絵画的な意味で、《セファラーV》は、ガルシア・セビーリャの作品より、はるかに豊かで洗練されたものといえるでしょう。《オウム10》の仕上げと見かけは、初めて絵を描いたかのような、ほとんど子供じみたものを装っています。これに対しブロートは、一見すばやく気まぐれに描いたように見せながら、細部に至るまでの注意を凝らすのです。そこに、熟練の画家の手さばきがあらわれています。画家のあらゆる秘訣を熟知したブロートが、その世代最高の画家の一人とされるのも、ゆえなきことではありません。





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セファラーV